2008年01月31日

吉阪隆正

先週の水曜日、吉阪先生が設計された浦邸を訪問させていただきました。住宅建築の編集部で浦邸を取材するのでいらっしゃいませんか?と声をかけていただいての訪問です。10年ほど前にも見学させていただく機会があり、浦さんにお目にかかるのは2度目です。当日はU研究室ご出身の齋藤祐子さん(吉阪先生のお弟子さんで、「吉阪隆正の方法」<住まいの図書館出版局>という本を執筆されています)がお見えになっていて、浦さんご夫妻にインタビューをするという企画でした。 
  訪問する前に、紀伊国屋書店で吉阪先生の年譜を手に入れました。この年譜で、浦邸とベネチアビエンナーレ日本館が同時期に竣工していたことを知りました。とても特徴のあるピロティー形式の2つの建物が同じ時期に計画されていたことに、とても興味を持ちました。ビラクゥクゥも同じ時期の建築ですが、全く別の表情をしています。当日、そのあたりの話を齋藤さんに伺ったところ、「ビラクゥクゥもピロティー案があったんですよ」と教えていただき驚きました。

 外から見る浦邸はとても印象的な形態です。前回の訪問の時は、内部の印象が記憶に残りませんでした。というより、様々な素材や色彩、開口部などのディティールに目を奪われて、全体像を記憶にとどめることができなかったのかもしれません。今回の訪問ではそのあたりのところを注意して、浦邸を拝見させていただこうと思っていました。

 いよいよ訪問。玄関へはピロティーをくぐりアプローチすることになります。このピロティから、天井を見上げると建物の構造が手に取るように分かります。浦邸を印象づける出隅のレンガのカーテンウォールが、キャンティレバーで受けられている構成が軽快です。
(浦邸が計画される途中のスケッチの中に、長方形の矩形平面の中に、45度振った正方形を2つ組み合わせたスケッチが出てきます。浦邸が発明された瞬間のスケッチだと私は思っています。ピロティーから梁を見上げると、そのスケッチを覗いているように感じます。)
 と、ここまでは前回も経験しました。呼び鈴を押し、挨拶を終え、内部を案内していただきました。やはりインテリアは様々な要素が目に飛びこんできます。このままでは前回の二の舞、全体像がつかめません。正確に言うと、室内ではL型の柱を探し、これに対応する梁を探がそうとしましたが、居間のスペースを除き梁が露出せず、天井がフラットになっています。これに構造的に働かない内部の間仕切り壁と階段室周辺の方向の違う構造壁の軸線が加わり私の頭を混乱させます。結果、またしても内部環境を自分のものとすることはできませんでした。ただ、今回の訪問でも浦邸が私に教えてくれたことは山のようにありました。それらは、長くなるのでまたの機会に・・・。

 浦さんご夫妻は、結婚されて64年。とてもお元気でした。「お元気で」と挨拶をすませ、浦邸を後にしました。

 翌日、朝から雪。午前中、浦さんから電話がありました。「傘をお忘れですよ。」と奥様からでした。傘を私に渡しながら「また、いらしてくださいね」と、声をかけていただきました。とてもうれしかった。
 浦さんから電話をいただくということ・・・。学生の頃の私には、とても想像のできない出来事でした。
posted by go at 23:16| Comment(0) | TrackBack(0) | 建築のこと
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